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第一回 わかものが考える日本のグランドデザインとは 概要 

大テーマ:日本のエネルギー政策

小テーマ①:原発再稼働の是非
​小テーマ②:わかものが考える日本のエネルギーミックスは?

 
​開催日:令和6年12月22日(日)

開場:10:30
開会:11:00
​閉会:18:45
​当日のスケジュール

 

① 開会

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② 登壇パート

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③ 小テーマ説明

 

④ 昼休憩

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⑤ 小テーマ①についてのグループワーク

 

⑥ 小テーマ①についての発表・議論

 

⑦ 小テーマ②についてのグループワーク

 

⑧ 小テーマ②についての発表・議論

 

⑨ 全体講評・まとめ

 

⑩ 閉会​

​登壇者

​橋本 道雄  氏

東大先端研 国際エネルギー安全保障機構  教授

1989年に通商産業省に入省以降幅広くエネルギー・技術政策に携わる。2010年に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の設立に参加し、初代技術・イノベーション部門長を務める。2012年に帰国し(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新エネルギー部長を務める。2013-2015年の間、水素燃料電池国際パートナーシップ(IPHE)の議長に日本人で初めて就任。2015年より大学に移り、東京工業大学、大阪大学、京都大学を経て、2022年より東京大学先端科学技術研究センター。九州大学応用原子核工学科卒、東京工業大学にて博士号(工学)を取得。

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​村上朋子 氏

​日本エネルギー経済研究所 
 ​電力ユニット 上級スペシャリスト

1992年東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻修士修了。同年、日本原子力発電に入社。2004年に慶応義塾大学大学院経営管理研究科修士修了、経営学修士取得。2005年より日本エネルギー経済研究所勤務、2023年より現職。専門分野は原子力工学(炉心・燃料設計及び安全解析)、原子力政策、低炭素技術産業動向、企業経済学及び財務分析。

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​上野貴弘 氏

電力中央研究所 

 研究推進マネージャー(サステナビリティ)  上席研究員

東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻修士課程修了後、2004年に一般財団法人電力中央研究所に入所。現在、同研究所社会経済研究所研究推進マネージャー(サステナビリティ)・上席研究員。研究分野は地球温暖化対策。経済産業省及び環境省の各種検討会(カーボンプライシング、カーボンクレジット、グリーンファイナンス、トランジションファイナンスなど)の委員を務め、COPには通算16回参加。著書に『グリーン戦争―気候変動の国際政治』(中公新書、2024年)。
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​開催報告

12月22日、SHIBUYA QWS様 クロスパークにおいて、「第一回 わかものが考える日本のグランドデザインとは」を開催いたしました。

 

冒頭、当日お越しいただいたすべての方のおかげで本イベントを成功させることができましたことを改めて厚く御礼申し上げます。

 

本イベントでは日本のエネルギー政策を大きなテーマとして、登壇者の方からエネルギー政策を考える基準となるS+3Eについてそれぞれご説明いただいた後、「原発再稼働の是非」と「わかものが考える日本のエネルギーミックスとは」について議論を行いました。以下に本イベントの開催概要について簡単にご報告いたします。

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〈「原発再稼働の是非」についての議論〉

原発再稼働を是とする立場からは以下のような論点提示や主張が見られた。

・原発2割とする政府の目標に賛成である。

・ウランの輸入先はカナダやオーストラリアなどの友好国であり、石油・石炭・LNGを用いる火力発電に比べ、輸入する

 際にもいわゆるチョークポイントを通らずに済むため、エネルギー安全保障の観点から優れている。

・原発立地自治体周辺は原発関連産業で潤っているし、自治体(市長)も再稼働に前向きである。

・電源構成の多角化に貢献する。

 

・温室効果ガスを排出しないという観点から環境に良い。

・AIの発展やデータセンターの増設など、今後の電力需要・消費は確実に増える。原発なくしてどのように賄うのか。

 

原発は再稼働すべきではなく、段階的に脱原発に向かっていくべきではないかとの立場からは以下のよう主張が見られた。

・東日本大震災以前から原発を運用する上において安全対策をやってきたが、それでも津波により原発事故が起きてしまった。

・処理水問題について、処理水の安全性は科学的に証明されていてもなお、外交問題化しようとする国もあった。

・今後災害などにより万が一にも原発事故が発生してしまった場合を考慮するとあまりにもデメリットが大きすぎるのではないか。

・有事の際に原発が攻撃対象となる可能性がある。

・環境正義の点から考えると、東京の利益のために地方がリスクを負うのは難しいのではないか。

 ​上記の論点などをもとに議論が進められた。なお、各グループの作成した発表資料は以下からご覧いただけます。

〈「わかものが考える日本のエネルギーミックスとは」についての議論〉

各グループから2040年、2050年、2100年など中長期的なエネルギーミックスについて発表があり、それぞれのグループの構成は以下の通りであった。

​・火力3割、原子力3割、再エネ4割

・火力6割、原子力2割、再エネ2割(2050年)→火力5割、原子力3割、再エネ2割

・火力3割、原子力2割、再エネ4割、その他1割

・火力5割7分、原子力1分、再エネ4割2分

第7次エネルギー基本計画原案で掲げられている政府目標に近い割合を挙げているグループもあれば、原発を極端に減らして、火力・再エネに振り切っているグループもあった。特徴的なのは火力をある程度維持するのか、火力を現在の半分程度まで減らすのかで二分されているという点である。これらのエネルギーミックス案をもとに議論が進められた。

以下に論点や主張等を一部ご紹介する。

・日本だけが環境にやさしいグリーンな発電方法にシフトすることで、産業の国際的な競争力が低下することは避けなければならな

 いとし、諸外国にもグリーンなエネルギーへの切り替えを着実に求めなければならないとした。

・火力はあくまで再エネの補助としての位置づけであり、主力ではない(グループのエネルギーミックスの構成について)

・火力の割合を維持するとなると国際的な圧力などがあるのでは?

・火力の割合を維持するとしたのは、原発と再エネぼ両方ともがコケたときに、せめて半分はバックアップが欲しいからである。

・安全性を重視し原発を減らすとしたが、火力発電も地球温暖化を加速させるため、リスクがあるのでは?

・再エネを増やすとしたグループに対し、火力の割合を維持するとしたグループから「再エネが使えなくなった時のバックアップに

 ついてどう考えているのか?」との疑義が呈された。

 これに対し、そもそも火力や原子力は資源を外国に依存しているが、再エネは国内に資源があるため、再エネの方がリスクが低い

 といった趣旨の反応があった。

・安定供給というのは海外からだけなく、国内においても妥当するのではないか?

そのほか核融合や浮体式原発など、現在研究中の技術の活用に期待を示す考えも見られた。各グループの作成した発表資料は以下からご確認いただけます。

​Aグループ
​Bグループ
​Cグループ
​Dグループ
​Eグループ
​Aグループ
Bグループ
​Cグループ
​Dグループ
​Eグループ

​登壇者様からのコメント

​橋本道雄様

「わかものが考え日本のグランドデザインとは」に参加された皆さん、長時間にわたりお疲れ様でした。

皆さんよく勉強されていて、かつ問題意識も高く(正直ちょっとびっくり)、大変よい議論ができたと思います。

今回エネルギーミックスの議論をしましたが、エネルギーミックスに絶対的な「正解」なるものはありません。その時々の状況やエネルギーを供給する人・使う人の考え方で最適解は変わってきます。なので、毎日エネルギーを使って生活している我々も、状況を正しく理解し自分なりの考えを持ってエネルギーミックスのことを考えることが大事になります。今日のイベントがそのきっかけになってくれれば、私は嬉しいです。

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上野貴弘様

事前の予想を大きく超える充実した議論に感銘を受けました。
エネルギー政策の難しいところは絶対的な正解がないことです。
あらゆる課題に対応できる万能なエネルギー源は存在せず、さまざまなエネルギー源をいかに組み合わせて、
メリットを引き出し、デメリットを抑えるかを、その時々の状況に応じて対応し続けなければなりません。
今回の議論をきっかけに、ぜひ今後もエネルギーについて考え続けてほしいと願っております。

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村上朋子様

皆さまの親世代の私から見ましても、大変、実りある議論でした。お疲れさまでございました。

原子力や再生可能エネルギーの比率を議論するのも重要なことですが、その前段には必ず「そもそも、自分たちは2040年(2050年)どのような社会を望んでいるか」という大きな題目があります。12月17日に提示された第7次エネルギー基本計画の原案には、エネルギー政策の基本的考え方として「エネルギー安定供給を第一として、経済効率性と環境適合性の向上に向けて最大限取組を進めていくこと」が挙げられていますが、これさえも“既成事実”ではなく、若い皆さまのお考え次第では柔軟に見直すべきものです。

皆さまにおかれましては今後も、政府などの文書をただ受け入れるのではなく「政府はああいってるけど、ホントにこれで良いのか?」「この方向性は果たして自分たちが望むものなのか?」と、常に問い直していく姿勢を持っていただきたいと思います。クリスマスシーズンの日曜日、他に楽しいことはいくらでもある中、あえて厳しい課題に取り組み熱心な議論を展開した皆さまにはきっとできることと信じております。

会場
渋谷QWS クロスパーク

 
住所
東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号
渋谷スクランブルスクエア(東棟)15階
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主催
渋谷QWS Innovation 協議会



共催​
東大先端研創発戦略研究ラボ

​ 
わかもの政策研究会
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